CTL一年目のまとめ
この記事はPepabo Managers Advent Calendar 2018の23日目の記事です。
3月に拝任した技術部CTL(チーフテクニカルリード)としての2018年が終わろうとしているということで、取り組んだことと課題のまとめをしてみます。
CTLの役割
そもそもチーフテクニカルリードについてですが、GMOペパボで2016年に設置されたポジションです。役割は以下のように定義されています。
部門方針・目標に基づき、部門全体の技術選択および技術者組織 について方針を決定し、実行する。
背景についてはCTO @antipopの技術組織をスケールするためのCTL = チーフテクニカルリード - Kentaro Kuribayashi's blogを参照ください。
CTOが全社の技術方針と技術者組織をマネジメントするのに対して、CTLは部署内の技術方針と技術者組織をマネジメントするミニCTOというイメージが近いかと思われます。
現在、GMOペパボは大きく4つの事業部制をとっており、それぞれにCTLが一名ずつ、また会社横断型の組織として技術部(主にインフラ周り)のCTLとして私の計5名が着任しています。
ペパボにおけるCTLは、エンジニアリングマネージャとして技術組織の運営、例えばエンジニアの評価制度、採用関連、エンジニア育成制度などを行うかたわら、事業部やチームの状況に応じては、プロジェクト内のテクノロジー採用やチームマネジメントなど、いわゆるテックリードの役割も担っていきます。
タイムリーに、アカツキさんのエンジニア組織の責任範囲の透明性をRACI図で高めてみた - Akatsuki Hackers Lab | 株式会社アカツキ(Akatsuki Inc.)の記事があったので、それに習って大まかな役割の違いについてまとめてみました。(RACI図については今日の投稿には間に合いませんでしたが、社内向けにも有用そうなので試してみたいところです。)
役割 | 業務サマリー |
---|---|
CTO | 全社の技術な意思決定者 エンジニア組織のマネージメント |
CTL | 部門のエンジニア組織のマネージメント プロダクト/プロジェクトの開発マネージメント |
Member | プロダクト/プロジェクトの開発 |
GMOペパボにはVPoEという役割は明確にはありませんが、執行役員CPOの@hsbtがエンジニア組織のマネジメントも行っています。この内容については同じくPepabo Managers Advent Calendar 2018の1日目の記事、エンジニアリングマネジメントについて - HsbtDiary(2018-12-01)を参考ください。
またこれ以外にもエンジニア専門職としての職位制度もあり、上級職位がテックリードの立ち回りをしているという部分も多分にあります。
今年主に取り組んだこと
全社の技術的取り組みでの連携
今年は全社的にセキュリティ向上の取り組みに注力してきました。横断的なボトムアップのためには、扱うテクノロジーの選定含め、進め方を各事業部で足並みを揃える必要があり、この部分でCTLで連携出来たのは一つ実績として挙げれるかと思います。
今後については例のように1プロジェクトの推進以外にも、サービス開発についてより横串を刺していければというところです。全社的な技術共有についてはPepabo Tech Friday 始まってます! - ペパボテックブログで紹介されているPTFという技術発表会を毎月運営しており、今後も継続の予定です。
エンジニア組織の強化
「いるだけで成長できる環境」を標榜するエンジニア組織として、新しいメンバーのオンボーディングプログラムであるペパボカクテルを作成しました。内容については中途入社のパートナー向けにペパボカクテルを開始しました - ペパボテックブログの記事が詳しいです。
ペパボカクテルは中途エンジニアを対象に始めた後、新卒エンジニアやデザイナーのメンバーが入ってきたりで引き続き盛り上がっています。
特に人数が増える中「新しく入ったメンバーの顔が分からない」ということがランチの持ち回りにより大幅に減り、コミュニケーションが取りやすくなったように思います。CTLのみではなく、全エンジニア組織としての取り組みでありパワーは要するのに対して、十分に価値のある取り組みと捉えています。課題としてはメンバーのランチの調整が大変なところでしょうか。。
エンジニア職位制度の運営
前述した職位制度について、今年、CTOによるこれからのペパボのエンジニアについて(2018年編) - ペパボテックブログによりアップデートが加えられ、それにしたがってシニアエンジニアの昇級可否評価はCTOからCTLに委譲されています。今年はCTL全員での評価体制により一年を通して運営しました。こちらについては@pyama86によるペパボのエンジニア文化を醸成するエンジニア評価制度 - ペパボテックブログにも評価の様子が描かれています。
良かったというか印象的だったのはCTL同士で対象者の評価のブレがなく、どの結果についても一致して出せたということです。改善できる点としてはこれは以前からではありますが、結果自体含めより職位制度をエンジニアが活かせてもらえるようなフィードバックや日頃のフォローアップがあるかと考えています。
現状の課題と今後について
CTLの負荷集中
先述の通り、現状CTLが担う役割はエンジニアリングマネージャとテックリードの両面あり、これらを両立するには大変な場面も出てきました。CTOの権限が委譲されそれを遂行できているということは良いのですが、かつてCTOがそうであったように今度はCTLがボトルネックとなる懸念があります。
こうした流れを受け、この程TL(テックリード)が新設されました。今まで"部門のエンジニア組織のマネージメント, プロダクト/プロジェクトの開発マネージメント"とあった責務の後者をCTLと一緒に担っていくポジションとなっています。
エンジニア組織の情報の透明性確保・非対称性の解消
2018/12の時点で約90名のエンジニアが在籍しています。事業部やチーム、また職位や役割についての区分けは、効率化の反面認識の齟齬から衝突も発生し得ります。
先に例に挙げた全社的なプロジェクトに関しても、決して順風満帆だったわけではなく情報の量・スピードともにやり取りが非効率であった部分もあります。今後人数が増えればなおさらでしょう。こうしたことを少しでも減らすべく、人数が多くなってもスケールするような仕組みや文化作りをしていく必要があると考えています。
エンジニアメンバーの成長手助け、採用活動
エンジニアリングマネージャーとしての特に個人的な反省として、メンバーの目標設定やそのフォローがもっと上手くできたらというのがあります。1on1などのプラクティスには取り組んでいつつ、まだ手探りな状況も多く、ここは引き続き模索といった感じです。
採用についても新卒ではインターン、中途ではミートアップなど各種イベントの運営は関わりつつ、増員の計画的にはまだまだなので、引き続き力を入れていきたい部分です。